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執筆者の写真Keiji Takemura

はじめまして

20代の頃にこの街を離れ、7年間千葉で過ごしていました。

千葉では友人もでき、結婚の約束をした相手もできました。

この街に、もう帰ってくるつもりはありませんでした。

しかし意を決してこの街に戻り、妻と腰を据えることになりました。


東京で出会った妻に私の故郷を紹介しようと、街を散策しました。

街の隅々で、子供の頃の記憶がよみがえります。


昔住んでいた家、よく遊んだ宮川の河口、くすんだ苔色をした海、小学校へ通った小道、祭太鼓の音。

旅立つときは未練はないと思ったこの街を、懐かしく、そしてあたたかく感じました。疎遠だった幼馴染もお互いに成長し、落ち着いた大人の会話を楽しめるようになっていました。


地元で過ごすことが心地よいです。

少年時代に遊んだ記憶が時の樽で熟成され、郷土愛という芳醇なワインに変わっていました。

次の世代にも、深い郷土愛を育ててもらいたいと願っています。

そのために必要なのは、この街で楽しく遊んだ記憶だと思います。

スマートフォンやゲーム機の液晶画面からは郷土愛は生まれてきません。

街を知らない子供が街を愛する大人になるでしょうか?


子供だけでなく、大人にも楽しめる場所が必要です。

新しいお店の場所はバラバラで、お店の周りに人が歩いていません。

賑わいは店の中だけで、通りに人が歩いて街が活気づくこともありません。


移住者のために魅力的な街づくり、という声が聞こえます。

そうではなく、この街の主人公は私達で、魅力的な街づくりとは私たちが楽しめる街を作ることです。


かつては街のいろいろなところに空き地があり、草むらで虫をつかまえたり水たまりで泥だらけになって遊んでいました。しかし公園ではボール遊びが禁止されサッカーもできません。

そもそも街で遊ぶこと自体が危険視されています。

しかし、今には今の遊び方があります。


苦情の出ない街遊びの形は「アクティビティ」と呼ばれています。

子供たちが自由にアクティビティを楽しめる街を作りませんか?


街路樹の枝に芽が萌える春、薄緑の葉が色づく初夏、むせかえる熱気を吹きかけるような入道雲と空の青、何色もの赤で染め上げる夕焼け空、暗闇の木々から覗く星空。

そんな四季折々の自然に触れ、アクティビティを楽しみ、子供たちの記憶と心に郷土愛の種を植えてほしいと願っています。


そういう街をつくるため、私が役に立つことはできないかと考えました。

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