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執筆者の写真Keiji Takemura

私の生い立ち4 現在に至る


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。4部にわたる私の物語を最後まで見届けてくださった皆さんには、心から感謝の気持ちをお伝えしたいです。

振り返れば、決して平坦ではなかった道のりも、皆さんと一緒に思い出し、書き記すことで、また新たな視点で自分の過去を受け止めることができました。人生には様々な局面があり、時には苦しく感じることもありますが、それでも前に進み続けることで、思いもよらない景色にたどり着くことができるのだと、改めて感じています。



その後千葉ではアパート探しを弟に手伝ってもらったり、初めて自力で仕事を探しました。

最初は一週間食つなぐのも大変でしたが、友達付き合いもなく無駄遣いをしなければ徐々に暮らしは安定していきました。

交通整理のガードマンから始まり、コンビニのバイト、それから別の店で正社員に採用され店長になりました。

その気があれば人生詰んでいるところからでも普通に近づけると思いました。

しかし何事もとんとん拍子では進まぬもの、少しずつお金が貯まってきたと思った矢先、過労で倒れてしまいました。



退職して無職になり、貯金で食いつないでいる時に弟から連絡があり、柔道整復師にならないかと今の仕事に誘われました。

専門学校の入試は難しいと聞いていたのですが、浪人時代の蓄積のおかげでなんの苦労もなく合格しました。

専門学校の授業は午前中だけでしたが、午後から接骨院で修行があります。



午後3時から7時までと聞いていたのですが、蓋を開けてみれば患者さんが来なくなる夜11時まで仕事をさせられました。

体力が尽き学業も進まなないなかなんとか国家試験合格、そして卒業までこぎつけると、地元で開業した弟から一緒に働かないかと連絡が来ました。



結構な啖呵をきって出てきたのです。

もう金輪際、地元にはもどらないつもりでした。

しかし授業料を出してもらっていたので、そこは恩返しかと思い戻ってきました。



当時つきあっていた妻もついていくと言ってくれました。

結婚を考えていると父に伝えると、反対されました。

私がまだ一人前ではないこと、そして妻が年上であることが理由でした。

まだ私のことを小象だと思っているようでした。






それから12年、朝から晩まで休みなく働きました。

ある日突然、激しい耳鳴りに襲われました。

ステロイドの点滴を受けましたが、いっこうに改善しません。

そして数か月後、今度は仕事中に突然下半身が動かなくなりました。

動こうとすると激しい痛みが起き、左脚の感覚がなくなっていました。



どうやら限界で体を壊すまで働いてしまうのが私の性分のようです。

もう今のような働き方はできないと弟に相談しました。

休養中も社会保険の傷病手当をいただきながら、仕事を続けるかどうか、今後のことを考えていました。

傷病手当をもらえたということは、弟はしっかり私に給料を払ってくれていたんだなと感謝しています。



自分の強みは何か、そして無理のない働き方をするにはどうすればいいか。

弟とも話し合った結果、退職することになりました。



それから私ができることは、これまでの強みを活かし整骨院を開業することでした。。

開業するための様々な手続きや事業計画書の作成、融資の申し込みなど、未経験のことが山積みでした。

新規事業のコンテンツ作りのためのセミナーを受けるため毎週大阪まで通いました。

国庫から融資の結果が届いたときなど、妻と手を取り合って喜びました。

ようやく自分の城が持てるのです。




内装には、患者さんが安心できる空間を作りたいという思いを込めて、プライバシーを守れるようベッドの間には壁を設置したり、広めのベッドを用意したりと工夫を凝らしました。

車の値段ほどの機器も数台導入し、リース代だけで毎月数十万円以上払う日々が続きました。

その間にも様々なアクシデントやコロナ禍があったりして経営はギリギリのことも多々ありました。

開業後は多くの患者様に支えていただき、感謝しています。

経営においても様々な経営者のお話が聞ける機会をいただいたり、信用金庫の担当者様からの支援にも救われました。

現在は様々な支払いが一段落し、先の安定が見えてきたところです。




私の人生はこんな感じです。

割と底辺をさまよいつつも、自力でなんとか独立できました。

困難もありましたが今思えば、「信じている」と言った父の言葉が心のどこかで支えになっていた気もします。




幸運と言えば妻と出会えたことですが、これ以上ない幸運でもあります。

妻と結婚しようと決めたのは、なんといっても正しく生きる彼女の姿が尊敬に値すると思ったからです。

儒教における五常の徳「仁・義・礼・智・信」というものがあり、これは正しく生きるために必要なこととして伝わっています。

しかしそれを実践するには厳と勇が必要だと言われています。

特に勇気をだすのは難しいものです。

妻は、表には現れませんがこの「勇」に優れた人です。

私に正しい道を示してくれます。




商売を始めてみて思うようにいかないことも何度かありました。

そのたびに妻が寄り添ってくれ、支えてくれました。

苦しいときに基本に立ち返らせてくれる、最高のパートナーです。




暗い浪人生活を経て、詰んでいるとおもった人生。

しかしコツコツと、「普通」に近づいていく。

それが私の人生です。



だから普通に生きている人を見ると応援したくなります。

誰もが人生のどこかで辛い思いをしたことがあるでしょう。

でも頑張っているから普通に見える。



そういう人たちを応援して、それが自分の喜びになることが最高の幸せだと思っています。

最後までお付き合いいただき、心からありがとうございました。

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